ほぼ日の経営

週末に読んだ株式会社ほぼ日の代表取締役
糸井重里さんの経営論が非常に有意義だったのでシェア。

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以下、響く内容を幾つか抜粋してみました。

”一人でいる時間はインプットよりアウトプットの方が向いている”

”貢献、実行、成果”

”頼まれた段階で相手は出来ると思っている”

”人体模型図のように組織がやることを図式化した組織図”

”上場は会社が戸籍を得て認知されるという事”

”なぜ出来なかったのかを考えるための予算=アクションプランへの連動ありきそれを予実に連動して分析”

”予算=達成目的ではない、こうなりたい、こう成長したいの想いの積み上げが予算、だから結果を分析する”

”スペック、情熱の競争は顧客の創造につながらない、社員が幸せでないし、顧客が幸せにならない”

”陰口があっても、そこに興味が行かない会社を目指す”

理解していても、なかなか言葉でストレートに表すのが難しいのに、
糸井さんはスパッと表せるのが凄いです。

Sharing EconomyとShared Eco System

現在、広島県の大手企業社員、ベンチャー経営者、デザイナー、行政、金融機関、学生の有志が一体となって
計画している非都市圏型エコシステムの創造プロジェクト。
その名称がイノベーションコレクション”、略して”イノコレ”。

このプロジェクトへの参画を通じて、私が想い描く地方経済活性化のための経済理念(ビジネスモデル)
をここで提起したいと思います。

題して、”シェアードエコシステム”(Shared Eco System)

この経済理念を説明する上で、参考になるのが最近良く耳にするシェアリングエコノミー。
代表的な企業の例としては下記。

Airbnbhttps://www.airbnb.jp/)
Zipcar(http://www.zipcar.com/

”現代ビジネス”によると、シェアリングエコノミーの定義は、”ソーシャルメディアの発達により可能になった
モノ、金、サービス等の交換・共有により成り立つ経済のしくみ”だそうです。

これって非都市圏型エコシステムの創造に活かせない?
そこでシェアードエコシステムをこんな感じで図式化してみました。

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まずは、シェアリングエコノミーとシェアードエコシステムにおける環境の違いを精査。

シェアリングエコノミー(Sharing Economy)
・成熟市場をバイパスする経済活動・ビジネスモデル
既得権益の破壊が目的
・ターゲット市場内での上場企業、大規模企業比率が高い
イノベーション、インキュベーションムーブメントとの共存がキー
・既存の資本主義のリニューアル

シェアードエコシステム (Shared Eco System)
・未成熟隔離市場、成熟市場と比較した場合のリソースの欠如が顕著
既得権益の破壊よりも既得権益との共存がターゲット市場内のテーマ
・上場企業数と比較して非上場企業数が圧倒的に多い
・社歴の長い企業数が多く、資本流動性がない(間接金融機関が金融活動の最上位)
・資本流動性の欠如により既得権による経済基盤依存度が高い

広島県下で行われている経済活性化活動を拝見する限り、シェアリングエコノミーが想定している経済環境を
ターゲットとした新規プロジェクトやアントレプレナーの集まりが多い気がするけど、実はシェアードエコシステム
が想定している経済環境が地方経済には圧倒的に多いんじゃないかな。リソースが限定されている中で利用可能
リソースから最大公約数を導き出すことが何よりもここでフォーカスすべき。

最近ベストセラーとして話題になった里山資本主義とシェアードエコシステムが同じようだという
ご意見を頂くかもしれないけど違いは明確で、里山資本主義が市場原理と市場アクセスを
自ら限定した上での地方経済活動の隔離や安定性を唱っているのに対して、
目指す市場はシェアリングエコノミーもシェアードエコシステムも変わらない。
自由経済活動上、アクセスが可能な全ての市場がターゲット。


というのも、現状の日本としての少子高齢化国債問題は東京に住もうが地方に住もうが
全国民すべからく取り組むべき課題。地方だから地方的に生きて良い、経済成長を目指さなくて良いというのは
あまりに将来を生きる子供達に無責任過ぎる。今の日本は世界経済の中で生きている事をもう少し地方に生きる
経営者も直視する必要があると思う。

都市圏型と非都市圏型エコシステムを一国内で共存させることにより、初めてこれまでの日本の経済文化を維持しつつ
地域毎に多角化された経済成長を促すことが出来るのではないかと思うからこその提起でした。

上場を目指すということ

非都市圏型イノベーションエコシステムの構築を目指す祭り、
イノコレ!広島のプレイベント第一弾が広島市内で一昨日開催されました。
経洗塾も微力ながらサポートさせて頂きましたが、
その場で登壇されたメドピア株式会社、石見社長の講演を拝聴しての感想です。
(写真はイベントの開催風景です。古くからのご友人の皆さん、井上の風貌の変化はご了承下さい。)

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都市圏から一歩外に出ると、上場を目指すことは良くない。大きくなるだけが、会社の目標ではない。

出来るだけ法人税を抑え、内部留保額を多くして、自己資本率を高め、税務署、金融機関、
地域経済団体の中で貢献度を高め、社歴が長い会社を目指す事が美徳とされています。
全ての企業がそうだとは言いませんが、大部分の会社がそうなんじゃないでしょうか。
(まだまだ貢献度合いの低い私の会社もその1社ですが、、、)
あたかも上場を目指すことは悪だ!なんて言葉も地方の有力者から耳にします。

勿論、それが悪いといっているわけではないですし、1円でも納税し、1人でも雇用している
会社は全て大切だと思います。私の身近な存在として、100年近く成長し続け、
地域に貢献し続けている会社などは素晴らしいと思います。
上場を目指せる業種、目指せない業種もあり、市況の変化により目指すタイミングもあります。

しかし、今年6月に上場された経営者の生のお言葉はこのイベントに
参加した多くの方々に衝撃と感動を与えたのではないでしょうか。
多くの参加者からメッセージを頂いたから分かるのですが、
上場を目指すこと・果たすことは、自身や社員の上場益だけではなく、日本の経済に貢献し、
社会に対して夢を与え、感動を与え、目標を与えるんですよね。

勿論、今年上場を果たした企業の中で市況に関係無く評価を受けている数少ない企業が石見氏の会社だという
こともあるのかもしれないですが、”上場”って昨今SNS等にて語られているような、
”世界で戦うための増資”とか、”小規模の上場は意味が無い”とか、そんな薄っぺらいものではないと
思います。

やはり、国の経済を代表して、地域の経済を背負って、公益のため自社の株式を公開するってことなんだと思います。
だからこそ、そこに感動が生まれ、若者の目標が生まれ、夢を抱く若者やイノベーターによる
経済の循環が起こるんだと思います。上場を目指したい経営者は目指すべきだと思います。
そんな経営者が沸々と湧き出て、地域が全力でサポートする環境があれば、今のような地方経済の
衰退は起こってないんでしょうね。

私も数社のベンチャー企業に関わっていた時に、色んな夢を抱きました。色んな失敗もしました。
数年経った今、少しステージと目標は変わりましたが、今後もこういった場を通じて、
イノコレ!広島の参加者達と一緒に今の目標達成に向けて走り続けようと思います。

製造業と再現業

最近色々なモノづくりに関する書籍を拝読したり、
モノづくりの最前線で活躍されている方々に
直接刺激を受けたりする機会に恵まれている環境で、
ちょっとこんなこと考えてみました。

そもそものモノづくりを表す”製造業”って、業種の定義付け自体が時代に
そぐわなくなってきているんではないか?
実はモノづくりには2種類の業種が存在していて、
それをいくら混同して議論しても、各業種に属する方々や長年各業種で生きてきた方々からすると、
相反する業種には(絶対ではないけれど)価値も喜びも感じないんじゃないか。

ということで、私が考えた二つのモノづくりの業種の性質を簡単にまとめてみました。

製造業
・無から有を生み出すことへの喜び
・デジタルファブリケーション、プロダクトデザイン、新ブランド創出
・エンドユーザー市場に近く、常に世にない全く新しい産物を欲する

現業
・破壊されたものを修復することや求められたものをカタチにすることへの喜び
・現在の定義での”下請け製造業”、”量産工場”、”製造外注先”
・製造業者に準じて動く、もしくは既存市場の製造物に対して改善意欲を発揮する

それをひとくくりの業種にしてしまうから、誰が何を求めてて、
市場が何を求めているか分からなくなってしまう。

それぞれの業種にはそれぞれのモノを作る素晴らしさがあって、対外的な評価軸も違う。
例えば、国内市場や海外のエンドユーザーマーケットは日本の製造業再建を求めているかも
しれないけど、私の渡航頻度が高い東南アジアの新興国からは再現業を誘致してきてほしいと
頻繁に相談を受ける、みたいな。

日本のモノづくりが成熟市場だからこそ、旧態依然の業種の定義自体を見直すことで、
初めて適切な市場に対する人材配置やリソース提供、現状改善のための有効な打開策が
検討できるんじゃないか。


そんなことを金曜の夜中に考えました。

2014年も仕事納め

2014年も本日12月26日をもって、経洗塾は仕事納めです。

2014年は経洗塾としてもかなり動き回った年でした。
今期新しくスタートした事業。

①広島経洗塾
②ビジネス英語養成ギブス
③カキ会
④”世界を相手に生きるということ”ワークショップ

全ての会で多くのみなさんにご参加頂き、来年もより多くの皆さんとお会いできる
予定で非常にワクワクしております。

全ては瀬戸内海のために、全てはこれからを生きる子供達のために、来年2015年も動き回ります。
来年は下記を中心に活動予定です。

経洗塾の運営拡充(他都市、他県への展開を検討中)
KSJベンチャーパートナーズの創設
KSJオーシャンズの設立(フットサルチーム)
AEV(瀬戸内情操教育プロジェクト)

経洗塾運営スタッフも採用中です!詳しくは、下記キャンバスプロジェクトHPより。
http://canvasproject.weebly.com/25505299922477322577.html

皆さん、良いお年をお迎えください!

アドラー心理学入門=アドラー経営学入門?

先日拝読した「嫌われる勇気」が良かったので少しアドラー心理学を深堀しようと思いまして、 今週の国内移動の合間に拝読した「アドラー心理学入門」。 この本がどう読んでも心理学に留まらず、素晴らしい経営学の参考書に思えたので幾つかの金言を抜粋しました。 ちなみに、本はこちらです。

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この本から抜粋した幾つかの金言がこちらです。(主語を経営者や企業に置き換えてみました。)

・大人は子供に勝ってはいけない。子供が表に出てこなくなってしまい、非行に走りやすくなってしまうから。
 → 経営者は社員に勝ってはいけない。社員が目立たなくなってしまい、非行に走りやすくなってしまうから。

・適切な行動により注目されることで、不適切な行動は減る。
 → 適切な企業活動により、不適切な企業活動は減る。

・他の人より優れていないといけない→優劣コンプレックス、劣等コンプレックス
 → 他社より優れていないといけないと考えることは、自社の否定的なコンプレックス。

・ありがとう、嬉しい、助かった→存在していること自体に感謝する
 → 経営者は社員や協力企業の存在自体に感謝すべき。

・一人一人の課題を混同しない→課題の分離
 → 一つ一つの企業課題を混同しない。社員一人一人の問題を全体最適で考えない。

・決して自ら他人の行動にブレーキをかけない→免許検定員のように。
 → 社員や協業企業の意識や活動に自社が自らブレーキをかけない。

・横の対等な立場では、子供にあるべき門限は大人にもあるべき
 → 社員・協業企業に課すルールは自社や経営者にも課すべき。

・自分という道具は癖があるが取り替えることが出来ない→どう使いこなすか。
 → いかなる社員、いかなる協力企業も取り替えることはできない。どう使いこなすかを考えるべき。

・甘やかされた子供に育つのではなく、甘やかす親の働きかけの方が子供にメリットがあると子供自身が判断する
 → 甘やかされた社員に育つのではなく、甘やかす経営者の働きかけの方が社員にメリットがあると社員自身が判断する。

・状況で定められた価値は絶対ではない。何が善で悪かは、状況に応じてその都度当事者が合意して
 決めていくもの。

 → 企業経営に絶対はない。何が善で悪かは、市況・周辺環境に応じてその都度経営者、社員、協業企業が合意して決めていくもの。

・Aが理由でBができない→人生の嘘、他人も自分も欺いている。何も因果関係がないところに因果関係を見出すことの目的は、
 自分の行動の責任を他に転嫁すること。
 → Aが理由でBが出来ないという経営者、社員 → 人生の嘘。他人も自分も欺いている。何も因果関係のないところに自社の成長の無さや事業の進捗具合の理由を見出すことの目的は、自社の行動の責任を他に転嫁すること。

・現実を見据えて肯定的に考え行動する→楽観主義。
 なんとかなると思って何もしない→楽天主義→なんとかする勇気を欠いている=悲観主義

どうですか?結構、納得のビジネス金言集だと思いません?

祭りの意義

瀬戸内海を世界の情操教育の中心地にすべく、世界中から子供達が集える祭りに成長してほしいと願うキッズミュージックフェスティバル。この祭りの成長過程を考えながら、昨今多くの地域で生み出されている地域起こしのための新しい祭りに関して熟考してみた。

まず、顕著に変貌を遂げている祭りの役割はITに例えてみるとわかりやすい。

簡単に言うと、旧態依然の祭りは検索エンジンで、現在のトレンドは自社ホームページになっている。旧態依然の祭りは地域中の老若男女が集い、情報交換を行い、それぞれの家族集合体に収集情報を持ち帰る。各々の家族集合体の祭りへの参加動機は異なるが、皆が祭りのためにと最大限の努力を図る。祭りはそのプラットフォームとして機能していた。それが現在では、自社(基盤となる集合体)の予算、設定目標、主催者対顧客、主催するためのリスクマネージメント等、自社(各コミュニティー)の訴求のためのツールとなっている。(ちなみに、何百年と受け継がれている祭りは除外。)

それだけ主催側でコントロールされた祭りに変貌を遂げているため、他コンテンツ(他祭り)との差別化が鍵となる。Aという祭りとBという祭りでは顧客満足度がどう違うか、Aの祭りがターゲットとしている顧客とBのそれとは何が異なるか、顧客側に選択してもらえる空間作り、コンテンツ作りが重要となる。

この変貌に注視し、開催内容を常にブラッシュアップ出来ない祭りのニーズは減少し、逆に顧客をしっかりと見据えた上でのコンテンツ訴求が出来る祭りは顧客から求められ、成長する。まさに、自社ホームページを常に更新していく作業と一緒だ。

では、そのブラッシュアップされるべき祭りのコンテンツはどう取捨選択されているのか?
トレンドとしては経済論で比較すると分かりやすい。

主に、社会主義的な社会問題解決コンテンツと資本主義ベースのコミュニティー目標達成コンテンツ。
比率的には前者が多いように感じる。多くの経済団体や企業、自治体主導で行われてる旧態依然の祭りは、”環境改善”、”自然問題解決”、”歴史再認識”など、コミュニティーとして問題を解決することに重きが置かれている。そのため解決後に次の問題探しが必要だが、問題を失うとその祭りの開催意義さえも失ってしまう。また、達成目標が不明確なため、開催すること自体が目標の場合が多い。

逆に、資本主義的に祭りコンテンツを選択するとなると、まずは顧客分析を行い、段階別の目標設定を行う。その目標設定に準じて、成長戦略上のアクションプランを立てる。難しい点は、祭りという法人格を必ずしも伴わない活動のため、運営側のモチベーション維持だが、祭り自体としては常に成長を遂げる。また、目標設定が明確なため予実管理がしやすく、次回に向けてのブラッシュアップも容易に行える。

これだけ祭りが乱立している現代だからこそ、資本主義ベースの顧客主導型コンテンツを個々の祭りが取捨選択し、成長戦略を描くことで多様性のある祭り作り、強いては地域づくりが生まれるのではないかと思う。