原体験をパラメータに連動する流れ


経洗塾を通じて多くの方々とベンチャービジネスの構想を検討していると、

”原体験”をどう選定するか?
その原体験をどうベンチャービジネスに繋げるか?

という質問をほとんどの現場で受けます。


これは塾のノウハウ的な部分と一般的な知見部分を織り交ぜた内容なので、ブログで発信しようと思います。

 

 

ビジネス構想の取っ掛かり

 

まず、自分の熱意が向いているマーケット、プロダクト、サービスを明文化します。
このプロセスで多くの方々は周囲に意見を求めます。塾では、以下の2つの行動を出来るだけ行わないようにしましょう、とアドバイスします。

 

・出来るだけ周囲のアドバイスを受けない
・ビジネスモデルを考えない

 

理由としては、アドバイスを受ければ受けるほど、自分の原体験から離れていってしまいます。それが最終的に自身のビジネス構想の違和感に繋がる場合がほとんどです。

初期のトラクション(顧客牽引力)チェックと顧客獲得コスト(CAC)がベンチャービジネスを検討する上で大切な要素ですから、初期の原体験探しを他者に委ねることにより、以下のようなことが発生してしまうリスクを抱えてしまいます。

 

・他者のアドバイス=他者の強みをベースにしたビジネス構想により、
 初期の顧客獲得コスト(CAC)が上がってしまう

・ビジネスリリース初期の段階で独自の顧客獲得が出来ない

・初期のPMF(プロダクトマーケットフィット)が自身で定義化出来ず、

 マーケットのセグメント化が充分に出来ない

 

要するに、自身の熱意がどこに向いているかぐらいは自身でまず明文化し、それにより初めて顧客獲得の現実味を高めることが出来て、且つ初期のPMFの定義が最適化されるという流れです。

 

ちなみにこのプロセスで注意したいのが、多くの方々が”形容詞”をパラメーターの定義に入れてしまうことです。

”可愛そうな”
”難しい”
”大切な”
”大変な”

最終的には全て数値に連動するわけですから、数値が紐付かない定義は全て数値で言い表せる単語に変換します。

”〜が〜以下の個人”

”〜が〜より〜%以上の法人”
”〜を〜より%以上重要視する”
”〜の達成率が〜より〜%低い”

 

というように、全ての形容詞を削除していきます。



パラメーター係数選定後の最大売上規模の数式化

 

パラメーター係数を自身の力で定義化した後には、最大限の情報収集を行い、

以下のような計算式に落とし込みます。

 

パラメーター係数×単価×係数の市場存在数×目標シェア=最大売上規模

 

ここで大切になってくるのが、パラメーター係数に充分な潜在キャッシュと将来キャッシュが存在しているかという点です。ここが多くのベンチャーが評価の土俵に上がるかどうかの分かれ道だと感じます。”そもそもそこにビジネスあるの?”って指摘を受けてしまうベンチャーが意外に多いのは、ここの精査が充分に行われていない場合が多いです。

 

潜在キャッシュとは、 幼児を対象にした教育ビジネスの場合には幼児を養っている親が実際にはキャッシュを生み出してくれる顧客なので、潜在キャッシュは親側に存在するわけです。意外にもこの単純な考えが事業構想に落とし込まれていない場合があります。

 

赤字会社や中小企業にB2Bサービスを提供したい場合にも、赤字会社や中小企業がそのサービスに支払う余力があるのか、その余力をどのセグメントユーザーのどの部分のキャッシュから捻出してもらうのか。そういった潜在キャッシュの明確な説明を将来キャッシュに連動することにより、初めて第三者に理解してもらえるサービスとなります。

 

 

最大売上規模を算定した後のトラクションチャネル選定

 

パラメーターの係数と最大売上規模が算定出来ると、自然とそのパラメーター係数の積載をどう達成するかを検討するプロセスに入ります。

こちらに関しては、以下の書籍が非常に有益です。

f:id:Keisen-Institute:20190604105729j:plain


ラクションとはベンチャービジネスの初期段階で、初期の顧客を掴むマーケティングチャネルを如何に選別するか、どう初期のビジネス牽引力を計画するかが説明されています。

 

本書籍内では、19のトラクションチャネルが存在すると記載されています。

1.パラレルマーケティング

2.PR

3.規格外

4.SEM

5.ソーシャル/ディスプレイ広告

6.オフライン広告

7.SEO

8.コンテンツマーケティング

9.メールマーケティング

10.エンジニアリングの活用

11.ブログ広告

12.ビジネス開発(パートナーシップ構 築)

13.営業

14.アフィリエイトプログラム

15.Web サイト、アプリストア、SNS

16.展示会

17.オフラインイベント

18.講演

19.コミュニティ構築 

 

このステージで大切にしたいのが、当然ではありますが顧客獲得コストとキャッシュフローの連動です。ここが地方におけるベンチャービジネスの難しい部分でもあります。本文で説明させて頂いたパラメーター係数の積載をどのチャンネルでどう創り上げていくかを選定する上で、以下を加味する必要があります。

 

①自社のキャッシュの体力

②選定したチャネルへのアクセス

③外部のキャッシュの利用によるチャネルの変化

 

ベンチャービジネスは、リリース初期の段階で最適化された顧客獲得コストで最大限の成果を出すことにより、そのビジネスの成長性を証明したいですから、やはりここでも大切になってくるのが徹底的にセグメント化されていて、徹底的に数値で定義化されたパラメーターの係数となります。それがないと、トラクションチャネルが選別出来ませんし、最適なキャッシュフロー計画を策定出来ないので。更には、プロダクトのマーケットフィットも最適化出来ないという負の連鎖に陥ります。

 

地方からベンチャーを創出する場合には、このトラクションチャネルを選定する上での”人材の欠如”、”ノウハウの欠如”、”アクセスの欠如”が発生しますので、いわゆる事業構想のリアリティを自社で立証出来るのかをしっかり考える必要があります。

 

 

ビジネスモデルの構築

 

ここまで来て初めてビジネスモデルの構想に入ります。

このやり方はあくまで経洗塾スタイルではありますが、ここまでクリアした塾の参加者は驚くほどの爆速で事業計画を創り上げます。既に自身が目指したいマーケットと、そのマーケット規模が見えているのでやらない理由が無くなってくるんでしょうね。

このプロセス以降は、幾らでも第三者に相談しても良いステージとなります。各業界毎にプロダクトの専門家が多く存在しますし、各業界毎の専門書も多く出版されています。

 

 

まとめ

 

ベンチャーアクセラレーションプログラムや相談窓口の現場で多く見受けられるのがビジネスブラッシュアップという名のビジネスモデル検討ですが、そもそもの原体験探し、ビジネス入り口探し、根幹となるパラメーター係数探しが塾では最も重要なプロセスと捉えています。

 

このプロセスが最適化されて、初めてベンチャー候補者達が自由にベンチャービジネスの入り口に立てるはずです。だからこそ、闇雲にビジネスモデルから考えるのではなく、自身が本当に大切にしているマーケットを丁寧に考える時間を設け、周囲の支援者もその時間と思考を尊重してあげる関係性が地域におけるベンチャーエコシステムを向上すると思います。

ベンチャーエコシステム創出における関係人口

 

長年のベンチャーエコシステム創出活動を通じて、なぜか地域行政の移住定住事業に関わらせて頂いたりもしました。ベンチャーを通じて関係人口を増強し、地域経済を活性化する高度人材を誘致する、的な意図で。

 

よそ者、若者、ばか物。

 

よそから来た、若くて、地域の既存経済に甘えず、良い意味で地域の文化に無知で、地域に新しい価値を見出してくれる、複数地域にまたがって生活する人材。

 

この人材をどれだけ誘致、もしくは創出するかが、地方人口急激減時代に必要というのが世論というわけです。最近は特にホットな話題ですね。

 

ただ、他方でこんな意見もあります。偶然に辿り着いたブログです。

 

「関係人口」は一刻も早く死後にすべき言葉かもしれない
https://i-shio.com/2018/02/12/kan1802/

 

ここ数年ずっとベンチャーエコシステムばかりに取り組んできた人間としては、このブログの内容に納得する部分もありつつ、もう少し自分のエッセンスも入れたいなと思いました。

 

それは、関係人口、労働人口、生産人口などの今までの人口定義では語れない、言い表せない人種がベンチャーエコシステムを地方で創出する場合には存在するなということです。しかも、それを見極めるのが非常に重要だと感じます。

 

それは、

 

アクティブ人口 (Active Population) vs. 非アクティブ人口 (Non-Active Population)

 

なんとなくかっこよかったので、英語で検索してみると、国連OECDには経済的アクティブ人口の定義はあるみたいですが、社会的アクティブ人口は世の中に定義が存在してないみたいです。

(https://stats.oecd.org/glossary/detail.asp?ID=730)) 

 

 

非アクティブ人口とは例えば、批評する人口、活動しようとしない人口、学ぶだけの人口、批判する人口、過度に地域の商文化を守ろうとする人口、既存経済がベンチャーを最終的には救うと思っている人口。

 

 

アクティブ人口の定義は、新しい計算式みたいなものがあると良いなと思ったので、仮にイメージを書いてみると、

 

関係人口交流時間+新規事業関与時間+コミュニティ活性活動関与時間+地域外人口交流時間+新経済学習時間、の総時間数が一定を超える人口。

 

恐らく、この数式だと企業城下町とか非アクティブ人口が大多数なはずです。

 

ベンチャーエコシステムを地方で創出する上で、実は非アクティブ人口が多数を占める場合が多く、”隠れ非アクティブ人口を見つけ出す”というよりは、”アクティブ人口”を早期に見出して、重点サポートする”みたいな筋道作りが重要だったりします。

 

人口減少時代なのだから、アクティブに動けば成長する、アクティブに動かなければ自然衰退する。アクティブに動いた地域が生き残る、アクティブに動かない地域が衰退する。経済の大小の問題でなく、人口の大小の問題でもなく、地域が未来に対してアクティブなのか。


そんな視点で色んな活動に参加してみると、新しく見える部分もあるかもしれないですね。非アクティブの参考例として、愛犬の日頃の姿をアップしてみました。

f:id:Keisen-Institute:20190523110809j:image
f:id:Keisen-Institute:20190523110814j:image
f:id:Keisen-Institute:20190523110801j:image
f:id:Keisen-Institute:20190523110757j:image

山レボの熱い夏!2019

 

今年も山レボの季節がやってきました!

昨年のプログラム終了後から”2〜3年ぐらいは継続的にやるべき”という共通認識は関係者全員が持ってはいましたが、中国経産局の皆さん、YMFG ZONEプラニングの皆さんには、二期連続開催の達成に本当にご尽力頂きました。

今年は、収支計画&資本政策=東京、大阪、博多で急成長しているわかば経営会計岡本先生、法務分野=創・佐藤法律事務所の佐藤先生、アクセラプログラム&VC対応=プロトスターの前川CEO、という強力、且つ実践的なメンター陣をお迎えして、長州発ベンチャービジネス構築を強烈に後押しします。勿論、経洗塾も全体の監修とビジネスモデル構築分野に関わらせて頂きます。

 

▼今年のプログラムパンフレットは以下よりご確認頂けます。

f:id:Keisen-Institute:20190521094945j:plain

 

f:id:Keisen-Institute:20190521094957j:plain

明治維新以来初めて開放された松下村塾の感動を、山口各地に存在する多様な歴史や商文化を、山口県を盛り上げようと日々奮闘する方々の想いを、今年はより多くの参加者に感じて頂きたいですね。昨年のプログラム内で生まれた種をもっと咲かせたい、もっと多くの方々と共にベンチャービジネスを創出したい、そんな昨年と変わらない熱量で今年もプログラムメンターとして参加させて頂きます。


まずは、昨年同様にプログラム参加に関する事前説明会キャラバンを行います。
説明会への参加お申込みは以下からお願いします。


▼説明会お申込みページhttps://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdcEzh1mwDDXaGpw9LgG1e0w50HzFRBmZosKWJFOe13sPxpNg/viewform

 

山レボの熱い夏を一緒に感じて、山口からレボリューションを起こしましょう!

 

f:id:Keisen-Institute:20190521092120j:plain

地方コミュニティからベンチャーを創出出来ないジレンマ

 

地方発ベンチャー創出プログラムである経洗塾をこれまで運営してきた中で圧倒的に多い質問が以下です。

 

”行政、金融、士業、コミュニティで頑張ってるんですが、なかなかベンチャーを創出出来ません。”

 

”ここまで応援しているのに、ベンチャービジネスを一緒に考えている経営者が実践してくれません!”

 

そもそも上記のような状況は当然で、コミュニティはあくまでベンチャービジネスを創出するためのサポートを提供する役割であり、ベンチャー候補者を強引にベンチャー創出に誘導する力はサポートする側にも無いわけです。ただ、ベンチャー候補者側も一生懸命、サポート側も一生懸命というのが、塾を通じて関わってきた多くの地域で遭遇する光景ですので、まずは地方発のベンチャー創出プログラムを長年運営してきた経験から、その理由を”経営者と周囲のギャップ”という内容でまとめてみました。

 

  1. 経営者と既存経営パートナーのギャップ
  2. 経営者と社員のギャップ
  3. 経営者と家族のギャップ

 

 

1.経営者と既存経営パートナーのギャップ

 

まず、大前提として理解したいのは一部の大都市圏を除いて、ほぼ全国的にベンチャー創出と言えば”ベンチャー経営者の育成”となっているところがベンチャーが創出出来ない理由の盲点だという事です。

 

何故盲点かというと、地方におけるベンチャーシーンを担う主人公は

 

”創業期からベンチャーを志す若者”

 

という理想像ではなく、その多くは受託で何年も苦労してきた企業経営者、大手からスピンオフして起業したい中堅社員、事業承継のプロセスで会社をベンチャー化したい次世代経営者、既存事業の枠を超えてベンチャーデビューしたい既存事業に”飽きた”創業者、がそのほとんどだからです。

 

そういった方々にとって、各地域で展開されるベンチャー育成プログラムは感情を処理してくれる、ベンチャービジネスを創出した気にしてくれる、周囲が一生懸命応援してくれる”心地の良い”空間です。

 

ただ、残念ながらそういった経営者がその事業を持ち帰り最初に遭遇するのが、

 

・既存株主からの反発

・既存役員からの反発

 

勿論、これまでのプログラム運営の中で、”既存株主や経営パートナーから全面的に応援されている”という経営者はいらっしゃいました。恐らく1割に満たないぐらいの比率です。

 

残念ながら、ほとんどの経営者は各地のプログラムで時間を掛けて創り上げた事業プランに実際に取り組むことなく、泣く泣くゴミ箱に捨てています。

 

当然です。既存の経営パートナーは既存事業で生計を立てています。既存事業に寄り添うことで、評価を上げてきました。既存事業から完全に離れたベンチャー事業を展開する判断を勝手に経営者の独断でされても困る訳です。(ちなみに、この状況は日本だけでなく、東南アジアでも顕著に発生する現場に出くわしたので、ユニバーサルな傾向なんでしょうね。)

 

この第一の関門突破の対策ですが、”ファイナンスプラン”と”資本政策”を丁寧に作り上げる事です。昨今、リーンスタートアップやプロダクトアウト的なベンチャー創出論が活発に展開されていますが、これが機能するケースのほとんどが”創業からベンチャーを志す若者”の場合です。経営者や周囲のサポーターはそもそもの前提条件が異なり、且つ第一の関門が存在することを認識し、尊重し、事業転換に賛同してもらえる丁寧な資料に取り組む覚悟を持ってもらう必要があります。

 

 

2.経営者と社員のギャップ

 

ベンチャービジネス創出に向けて、既存経営パートナーの理解を得た次のハードルが”社員とのギャップ”です。

 

これまで一生懸命やってきた経営者であるほど、社員への愛情は深いはずです。

 

・これまで一緒に苦労してきた社員と共にベンチャービジネスを創出したい!

・社員を幸せにするために、市況も踏まえ、ベンチャービジネスに事業転換したい!

IPOを目指すことは、これまでの社員の苦労に応えるため!

 

残念ながら、社員はそんなに簡単には理解してくれません。その理由は既存経営パートナーとほぼ同じ背景です。既存事業を通じて社内評価を積み上げてきた、既存事業を通じて対外的なコミュニティーへの存在価値を創ってきた、既存事業を通じて家族を養ってきた社員にとって、既存組織外に視野を広げることは会社の否定に繋がり、経営者の否定に繋がり、強いては家族への反旗に繋がる。それが現実的な社員の思考回路です。

 

しかも、そういった既存事業に対する熱量が高い社員ほど組織のベンチャー化プロセスには最も重要なメンバーである場合がほとんどです。ここでも事業プランがゴミ箱行きです。

 

このプロセスは多くの人間が複雑に入り混じっている場合がほとんどなので、まずは参考に出来る書籍をご紹介します。

 

f:id:Keisen-Institute:20190516104133j:image

「スタートアップで働くということ」 

著者:ジェフリー・バスギャング

訳: 田中保成

 

こちらは、ベンチャー企業で働きたい社員向け、ベンチャー企業で働くことを理解したい社員向け、の数少ない書籍です。

 

 

f:id:Keisen-Institute:20190516104138j:image

THE TEAM ザ・チーム 5つの法則

著者: 麻野耕司

 

新刊ですが、真新しいベンチャー論というよりは、既存組織を如何にしてベンチャー的思考に転換するか、如何に既存社員にベンチャーマインドを理解してもらうかが丁寧に説明されています。

 

既存経営パートナーとは異なり、経営論やファイナンスプランだけでは動いてくれないのが社員だと思います。また、社員一人ひとりの特性や家族背景を組織横断的に理解している唯一の存在が経営者だったりします。スパッと別会社化して、別人材を通じてベンチャービジネスを志すのも一つの手だとは思いますが、まずは上記参考書籍や地域の社員育成系のプログラムへの参加を社員に促して、一歩一歩社内理解を深めていく以外の近道は無いかなというのが経験上の結論です。

 

最終的にはベンチャービジネスに舵を切ることにより既存社員が離れてしまう覚悟を持つことです。

 

ベンチャーコミュニティのサポーター側は、既存の所属組織から退職しない限りベンチャー候補者達の会社運営や社員説得に深く踏み込める訳ではないので、まずは社員達をベンチャーコミュニティに招待して、候補者達が志していることを社員に理解してもらえる環境づくりやそれに繋がるプログラム作りに協力することぐらいかなと思います。

 

 

3.経営者と家族のギャップ

 

実はこれが一番大きな課題かもしれないです。第3のゴミ箱行きプロセスです。数々の失敗を私自身も重ねてきたので色んな説明を重ねることは控えておきますが、参考までにうまく機能した事例を箇条書きにしておきます。

 

・家族の資産プランに検討中のベンチャービジネスの資本政策を組み込む

・調達タイミングまでスケールを目指さない(過度の不安を家族に与えない)

・既存事業とベンチャー事業を切り離す(1,2の説明を相反する部分もあるかもしれないですが。)

・家族デーを必ず設定する(一旦スタートすると事業に忙殺されるので)

・近親と出来るだけ近い場所に引っ越す(ストレスの吐き出し口を作ってあげる)

 

サポーター側は、もはやこのギャップに対して口出せる内容は皆無です。家族の状況を出来るだけ理解する包容力を持ち、温かく見守りましょう。

 

 

ここまで書かせて頂くと、経洗塾が新たにスタートするサービスが如何に重要だと考えているかがお分かり頂けると思います。ベンチャービジネス担当社員・スタートアップ社員向け育成プログラムとしての「経洗塾FLYプログラム」ですが、上記1と2のベンチャービジネスに取り組めない環境改善を目的としています。卵からヒナになり、ヒナから成鳥になり、空高く飛び立つ、そんなプロセスを全方位でサポートする当塾の基本理念に基づき、経営者が塾に参加する次の段階で起こる課題解決に一緒に取り組みたいという想いからこのサービスに辿り着きました。サービス詳細です→https://www.ksj-vp.com/fly.html

 

Future lies in yourself.

 

サポート側の”ギャップ”に対する理解、経営者側の”ギャップ”に対する事前理解と準備が揃って初めて、地方発のベンチャー創出がストレスレスな活動になると思いますし、地方発ベンチャーの創出確度向上に繋がるはずです。

 

 

【令和元年】経洗塾2019上期の開催スケジュールに関するご報告


令和元年、GW、共に明けましておめでとうございます!

この2ヶ月程で各地を走り回って、ようやく本年度上期の経洗塾活動スケジュールが確定しました。まずは連休明け一本目の本ブログで、その内容をご報告します。

開催地は4県+1県で確定しました。

f:id:Keisen-Institute:20190509104047j:plain



・第9期広島(今週スタート)
・第5期岡山(今週スタート)
・第1期鳥取(5月下旬〜6月初旬スタート)
・第1期長崎(5月下旬〜6月初旬スタート)

・山口(山口レボリューショナリーズ Vol.2)

参加人数は以下の通りです。

・広島ー7名

・岡山ー6名

鳥取ー5名前後

・長崎ー6名前後

複数地域での同時開催ですが、合計25名ー30名のシード〜アーリーベンチャー達が同じプログラム内でビジネス創出に向けて切磋琢磨する予定です。小さな活動も積もれば、大手プログラムと変わらない数字になるということですね。これを年2回、上期と下期で行う計画です。今年は東京や大阪、博多にも地方発ベンチャーの露出機会を創りたいという想いはありますが、まずはこれまで通りのやり方で新しく展開スタートした地域で実績を積み上げようと思います。

 

 

また、以下の付帯事業も塾の開催に併せて開始します。

経洗塾FLYプログラム

https://www.ksj-vp.com/fly.html

何故このプログラムに至ったのか、どのような想いを込めてスタートするのかは、次回以降のブログで詳しく説明させて頂きますが、役員・社員向け経洗塾研修プログラムを受付開始します。

 

尚、各地の塾開催に連動して、多くのオープンセミナーやアクセラレーター側(ベンチャーサポーター側)育成プログラムも併用開催を計画します。開催を希望される団体の方がいらっしゃれば是非各地でお声掛け下さい。

 

ベンチャー向けクラウドサービスinhouseの開発

 

全容は伏せておきますが、全体の構想が見えてきました。まずは、卒塾生、卒塾アクセラレーター、アライアンス企業・団体向けにクローズドなコミュニティーの中でプロダクトのマーケットフィットを細部まで検討し、その後に一気に一般リリースしたいと思います。

 

f:id:Keisen-Institute:20190509103544p:plain

 


鳥取におけるカテゴリー特化型ベンチャー育成プログラム

これはまだブレスト段階ですが既に素晴らしい環境は確認済みですので、全国や世界に発信できる内容にまで仕立て上げたいという想いをカタチにするために、徹底的に準備していきたいと思います。

 

f:id:Keisen-Institute:20190509103431j:plain

 


ということで、既に運営サイドもキャパオーバーで、ビジネスパートナー、アライアンスパートナー、塾の拡大に貢献したい初期社員メンバーを絶賛募集中です。我こそはという方がもしいらっしゃれば、自薦他薦問わず是非ご連絡下さい。

経洗塾お問い合わせページ
https://www.ksj-vp.com/contact.html

ベンチャーエコシステムの細分化とベンチャー創出の関連性

 

中国地方を中心に経洗塾を8年以上展開してきて、他地域のベンチャー創出環境の実情も把握したい思いがどんどん強くなってきました。そこで、最近では四国、九州にお邪魔する機会を積極的に設けるようにしてます。

 

先週も福岡県北九州市長崎県長崎市にお邪魔し、多くの方々と交流させて頂いた時間を通じて感じたのが、

 

ベンチャーエコシステムの細分化とベンチャー創出の関連性”が地域に及ぼす影響をその土地の方々がロジカルに理解する必要性と、

 

”その理解が広がることによる各地でのベンチャー創出の確度と速度の向上が、各地域の経済活性に貢献することを科学的に学ぶことの重要さ”でした。

 


経洗塾が提唱したい地方における理想的なベンチャー創出環境の最適化は、ちょっと一般的な定説とは異なるかもしれません。

①現状の経済活性化策からシード創出活動を分離。
②各シード毎に支援エコシステムを構築。
③各シード毎に事業計画、資本政策、成長戦略等を独自のエコシステム内で情報開示。
④そのエコシステム数を拡充することにより、各地域にエコシステム数の積載が発生。⑤エコシステム感での相乗効果を生む。

 


・何故、既存経済活性化策から分離なのか?

・何故、シード毎の支援エコシステムなのか?
・何故、各シード毎の早期情報開示なのか?
・何故、地域毎ではなく、エコシステム数の積載なのか?

ツッコミどころ満載。

中国地方以外ではこの提唱をこれから立証していく計画なので、まずは公表されているデータを羅列してみます。



中小企業庁https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H26/h26/html/b3_3_1_1.html

 

マネーフォワード

https://biz.moneyforward.com/blog/25780/

 

人口減少時代なので、地方の既存経済を支える中小企業の経営者数は自然減少します。故に、法人数と法人納税数も自然減少します。追い打ちをかけるように、既存法人の経営者の2割以上が”自分の代での廃業もしょうがない”と考えています。

当たり前じゃん!って言われるかもしれないですが、その当たり前が各地を訪問してると、実は色んな”地域目標”や”地域努力”で現実問題が見えなくなってる、直視しない、反論したがる、が横行してます。

 


中小企業白書https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H26/PDF/04Hakusyo_part2_chap1_web.pdf

 

企業規模が大きくなればなるほど、対外直接投資を加速させ、国外雇用を加速し、体内直接投資を削減します。人口減少時代に優秀な人材の雇用を海外人材で担保し、人口が増加する成長市場に対する直接投資を行うことにより、組織の成長を維持します。

それが資本主義でしょ!って突っ込まれても、国内へのCSR活動やメディア情報依存で、各地域の法人クラスター毎の経済貢献って、実情が見えなくなります。(特に、各地の”有名”企業って、必要以上に神仏化されてる現場にどれだけ遭遇するか。)


総務省ー人口流出理由

http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h29/html/nc141110.html

 

この問題は、中国、四国、九州、どこでもホットな話題です。地方からの人口流出の理由の9割弱は、”良質な”雇用機会の不足です。有効求人倍率でも、既存有名企業の景気動向による従業員数増加でもない、”地域の雇用機会が良質ではない”という判断からです。賃金、働き方、労働対効果、高等教育対提供労働、、、求める仕事と就ける仕事のギャップです。


ここまでで共通認識が持てると思いますし、各地で既に活動が加速している通り、以下が日本の地方が生き残る道ですよね。

 


”人口減少時代、法人数減少時代に、既存経済の海外投資流出で自然減退する国内経済、地域経済を維持・再活性化するには、創業数を増やし、新しい組織運営が推進できるベンチャー数を増やし、良質な雇用機会を創出し、地域の人口維持や関係人口の増強を行い、地域の経済構造を再定義する。”



ですが、話題がベンチャー創出方法やコミュニティーの役割に及ぶと、途端に議論が進まなくなります。地域の方々がアレルギー反応を起こします。その現場に何度も遭遇しました。

その理由も、まずは公表されている資料から引用してみます。

 


日本総合研究所

https://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/report/jrireview/pdf/8033.pdf

 

87ページ辺りからです。”ベンチャーを創出するには、ベンチャーを創出するエコシステム=生態系”が重要と図解で説明されてます。地域を再生、再活性するためにベンチャーを創出したいわけです。良質な雇用を創出できる組織を増やしたいわけです。図解のエコシステムを形成する要素は、そのベンチャーを創出するために必要な要素ですよね。

インキュベーター
アクセラレーター

ベンチャーキャピタル
④民間金融機関
⑤大学、研究機関
⑥専門家
⑦政府、公的機関
⑧既存企業

実際には、このエコシステムが現実的に構築出来ないからこそ、冒頭で提唱した経洗塾が考えるベンチャー創出環境の最適化に繋がるわけです。その理由として、

・各地にそもそも充分な数のインキュベーターアクセラレーターがいない。
・”創出”にリスクマネーを投資できるベンチャーキャピタルがその土地に無い、もしくは創出が第一義ではない。
・民間金融機関が収益を維持するには既存経済の海外投資、それに準じた国内投資の方が大事。
少子化時代に地方の大学にとっては、ベンチャー創出のエコシステム参画よりも高度人材の大都市圏や地域既存経済への有望な人材の輩出による、予算の維持の方が大事。強いては、組織としての生き残りの方が大事。

・専門家は、資本体力や成長性が不明なベンチャーよりも、リスクが少ない各地の中小・大手企業の業務が大事。
・政府・公的機関の予算配分は、実際には高齢化対策、高齢者対策。

・既存企業は組織維持・成長のためには、国外・域外活動に集中することが必要。


要は、実際問題として大都市圏から一歩外に出ると、ベンチャーを創出するためのエコシステムを常設化、インフラ化すること自体に無理があるんです。要は、どんなに多くの学生や若者が色んな活動を通じてベンチャーを知り、体験し、認識したとしても、人口減少時代に地方からベンチャーを生むって事自体がとても困難だということを事実関係を基に理解して、その上で最適な方法を実践することの方が重要なんです。今流行りのファクトフルネス的思考ですね。

 

 

そこで、経洗塾の提唱をざっくりと説明すると、

①シード候補を各地で選出する(各地の特性を最大限取り入れた上で)
②エコシステムの中にシード候補に入ってもらうのではなく、シード候補毎にエコシステムをカスタマイズする
③そのカスタマイズされたエコシステム参加者は、量より質重視
④そのエコシステムの成功体験を積載する
⑤積載数の増加に準じて、エコシステム参加者数を徐々に拡充する

これをまずは中国地方で未進出の地域と、中国地方以外の地域で立証するために、もう少し各地にお邪魔します。その第一歩が塾自体の開催と同時進行での各地のアクセラレーター育成講座の開催です。その先に塾自体の事業化とクラウドサービス化が見えてくると思うので。

f:id:Keisen-Institute:20190423124141j:image

 

長崎で開催した第1期長崎経洗塾の風景ですが、今年もコツコツと地域の理解者を増やし、アクセラレーター同志を増やし、ベンチャー創出のエコシステム作りに貢献します。コツコツ感が滲み出過ぎですね。

創業支援とベンチャー支援の違いに関して

 

経洗塾をより多くの方々に届けよう!と決めてから、各地でベンチャーを支援する側の方々に”ベンチャーアクセラレーター育成講座”というお題目で呼ばれることが多くなってきました。


その講座で一番質問されることがあります。

”創業支援とベンチャー支援の違いはなんですか?”(怒)


これに対する答えは本当に人それぞれだと思いますが、

経洗塾なりの答えは以下です。

 

”義務教育における学校と家庭の違いのようなもの”


あくまで支援側の背景に関してですが、ちょっと噛み砕いて説明してみます。

 


背景に関して

まず”創業支援側”の背景に関してですが、関係者のほぼほぼが行政、金融(間接金融)、士業、保険関係の方々かなと思います。一部、民間でもいらっしゃいますが。

 

こういった方々にとっての目標は、以下のようなものが代表的かと。

①国や地方自治体のガイドラインまでに創業予定者の経営レベルを引き上げる
②支障なく会社を登記してもらう
③人口減少時代の自然廃業率を上回る創業率を目指す(創業相談数を増やす)
④創業時に必要な費用の工面をサポートする
⑤法人納税者になってもらう


次に”ベンチャー支援側”ですが、

①地域の枠に留まらない既存市場や経済を革新出来る組織、個人に引き上げる
②会社の形態は二の次で、その商品・サービスがどんな成長を将来描くかを一緒に考える
③創業率よりもM&A確率、上場確率、成長速度
④成長に必要な費用の工面をサポート
⑤納税よりも、赤字決算よりも成長

 

この背景を初等教育に照らし合わせてみると、

義務教育

・最低限の質の教育を出来るだけ多くの国民に提供する
・社会に適合できる人材を出来るだけ多く輩出する

・より多くの児童に対応するため、目標設定を均一にする

家庭
・社会不適合者だろうとなんだろうと、子供には出来るだけ自分の能力や個性を伸ばしてもらいたいと願う

・子供には色んな分野に触れてもらい、その中で個性を伸ばせる分野に親として出来るだけの資金を先行投資する

・子供それぞれに応じた目標設定を行う

となるわけです。子供が可愛いのは学校側も家庭側も一緒ですが、”育て方”の背景や目標設定が異なります。要するに、同じ支援側として入り口が一緒でも出口が異なるわけです。

この背景をベースに創業支援とベンチャー支援の違いの話に戻ると、


支援方法

 

創業は、

・創業者、納税者、雇用者になってもらうための必要最低限の知識とサポートを提供する

・創業がゴールなので、出来るだけ多くの創業者を輩出するために創業内容には必要最低限の介入を行う

・地域経済の分母となる創業者数を増やすため、リスクを侵す起業に対してはしっかりとアドバイスの段階から方向性への”否定”を取り入れる

→その地でうまくいく方法や経験やコネクションを伝授する

 

ベンチャーは、

・その事業の最大限の成長を達成するために、最大限の知識とサポートを提供する

・事業の最高成長がゴールなので、その達成のためにはありとあらゆる介入を行う(勿論、口出ししないベンチャーサポート側の方もいらっしゃいます。)

・そのベンチャーを志す方々の想いや野望が最大化されるように、一切の”否定”を行わず、成長の確度が上がる方向性に”誘導”する

 

という違いになります。

 

そうすると、創業支援とベンチャー支援では幾つかの結果の違いが発生します。
あくまで経験論です。

・創業は沢山の相談者数をこなせるが、ベンチャーは数がこなせない
・創業支援は国のガイドラインや資格などの、ある程度の創業に関する知識や理解を相談される事業への熱量関係なく行えるが、ベンチャー支援は特別な知識や理解と共に、その事業に対する熱意とその事業に対するコミットが無いと行えない

 

 

ここが義務教育と家庭の違いに大きくシンクロする部分です。


要するに、義務教育では沢山の社会適合者を創出することが目標であり、個人的に偏った支援を先生が生徒に行うことは許されないですが、親は子供の最大限の成長のためにはありとあらゆる策を講じてでも、子供を支援する。子供が可愛いは一緒ですが、子育てのスタンスが違う訳です。

ただ、このシンクロが昨今のベンチャー支援環境では変わりつつあり、そこが経洗塾としても違和感を感じる部分です。


・出来るだけ多くのベンチャーを創出するために、画一的なプログラムを数多くこなす

ベンチャービジネスに取り組むには特別な能力が必要で、それを持たない人間はベンチャーをやるべきではないとの世論が普及している

・どんな支援体制であってもベンチャー創出確率があがるように、プログラムの入り口でふるいにかける

 

これって、結局はベンチャー支援が義務教育化しているように感じます。

発展途上の国において、子供を労働者とみなし、出来るだけ多くの出産を社会が女性に求めるように、国や地方自治体の衰退を救うべく、ベンチャー創出数に重きを置き、ベンチャーを労働児童にしてはいけないんじゃないかと思うわけです。

 

だから、経洗塾は人や能力で差別しないようにしてます。その塾生の個性や強みが最大限伸びるように、塾生一人一人が独自のベンチャービジネスやその成長速度に辿りつくように。

岡山、広島が発表1週間で満席となりました。GW明けにはキックオフします。鳥取、長崎も順調に説明会が完了していってます。塾の運営側の人員採用も進め、サポート体制も拡充していきます。事業化に向けてのシステム構築も時間の許す限り最短で行う計画です。もう毎日がてんやわんやですが、自分の愛すべき子供のように、また新しい時代を築く同志として新たに時間を共にする塾生に関わっていこうと思います。

f:id:Keisen-Institute:20190418101316j:plain