祭りの意義

瀬戸内海を世界の情操教育の中心地にすべく、世界中から子供達が集える祭りに成長してほしいと願うキッズミュージックフェスティバル。この祭りの成長過程を考えながら、昨今多くの地域で生み出されている地域起こしのための新しい祭りに関して熟考してみた。

まず、顕著に変貌を遂げている祭りの役割はITに例えてみるとわかりやすい。

簡単に言うと、旧態依然の祭りは検索エンジンで、現在のトレンドは自社ホームページになっている。旧態依然の祭りは地域中の老若男女が集い、情報交換を行い、それぞれの家族集合体に収集情報を持ち帰る。各々の家族集合体の祭りへの参加動機は異なるが、皆が祭りのためにと最大限の努力を図る。祭りはそのプラットフォームとして機能していた。それが現在では、自社(基盤となる集合体)の予算、設定目標、主催者対顧客、主催するためのリスクマネージメント等、自社(各コミュニティー)の訴求のためのツールとなっている。(ちなみに、何百年と受け継がれている祭りは除外。)

それだけ主催側でコントロールされた祭りに変貌を遂げているため、他コンテンツ(他祭り)との差別化が鍵となる。Aという祭りとBという祭りでは顧客満足度がどう違うか、Aの祭りがターゲットとしている顧客とBのそれとは何が異なるか、顧客側に選択してもらえる空間作り、コンテンツ作りが重要となる。

この変貌に注視し、開催内容を常にブラッシュアップ出来ない祭りのニーズは減少し、逆に顧客をしっかりと見据えた上でのコンテンツ訴求が出来る祭りは顧客から求められ、成長する。まさに、自社ホームページを常に更新していく作業と一緒だ。

では、そのブラッシュアップされるべき祭りのコンテンツはどう取捨選択されているのか?
トレンドとしては経済論で比較すると分かりやすい。

主に、社会主義的な社会問題解決コンテンツと資本主義ベースのコミュニティー目標達成コンテンツ。
比率的には前者が多いように感じる。多くの経済団体や企業、自治体主導で行われてる旧態依然の祭りは、”環境改善”、”自然問題解決”、”歴史再認識”など、コミュニティーとして問題を解決することに重きが置かれている。そのため解決後に次の問題探しが必要だが、問題を失うとその祭りの開催意義さえも失ってしまう。また、達成目標が不明確なため、開催すること自体が目標の場合が多い。

逆に、資本主義的に祭りコンテンツを選択するとなると、まずは顧客分析を行い、段階別の目標設定を行う。その目標設定に準じて、成長戦略上のアクションプランを立てる。難しい点は、祭りという法人格を必ずしも伴わない活動のため、運営側のモチベーション維持だが、祭り自体としては常に成長を遂げる。また、目標設定が明確なため予実管理がしやすく、次回に向けてのブラッシュアップも容易に行える。

これだけ祭りが乱立している現代だからこそ、資本主義ベースの顧客主導型コンテンツを個々の祭りが取捨選択し、成長戦略を描くことで多様性のある祭り作り、強いては地域づくりが生まれるのではないかと思う。