創業支援とベンチャー支援の違いに関して

 

経洗塾をより多くの方々に届けよう!と決めてから、各地でベンチャーを支援する側の方々に”ベンチャーアクセラレーター育成講座”というお題目で呼ばれることが多くなってきました。


その講座で一番質問されることがあります。

”創業支援とベンチャー支援の違いはなんですか?”(怒)


これに対する答えは本当に人それぞれだと思いますが、

経洗塾なりの答えは以下です。

 

”義務教育における学校と家庭の違いのようなもの”


あくまで支援側の背景に関してですが、ちょっと噛み砕いて説明してみます。

 


背景に関して

まず”創業支援側”の背景に関してですが、関係者のほぼほぼが行政、金融(間接金融)、士業、保険関係の方々かなと思います。一部、民間でもいらっしゃいますが。

 

こういった方々にとっての目標は、以下のようなものが代表的かと。

①国や地方自治体のガイドラインまでに創業予定者の経営レベルを引き上げる
②支障なく会社を登記してもらう
③人口減少時代の自然廃業率を上回る創業率を目指す(創業相談数を増やす)
④創業時に必要な費用の工面をサポートする
⑤法人納税者になってもらう


次に”ベンチャー支援側”ですが、

①地域の枠に留まらない既存市場や経済を革新出来る組織、個人に引き上げる
②会社の形態は二の次で、その商品・サービスがどんな成長を将来描くかを一緒に考える
③創業率よりもM&A確率、上場確率、成長速度
④成長に必要な費用の工面をサポート
⑤納税よりも、赤字決算よりも成長

 

この背景を初等教育に照らし合わせてみると、

義務教育

・最低限の質の教育を出来るだけ多くの国民に提供する
・社会に適合できる人材を出来るだけ多く輩出する

・より多くの児童に対応するため、目標設定を均一にする

家庭
・社会不適合者だろうとなんだろうと、子供には出来るだけ自分の能力や個性を伸ばしてもらいたいと願う

・子供には色んな分野に触れてもらい、その中で個性を伸ばせる分野に親として出来るだけの資金を先行投資する

・子供それぞれに応じた目標設定を行う

となるわけです。子供が可愛いのは学校側も家庭側も一緒ですが、”育て方”の背景や目標設定が異なります。要するに、同じ支援側として入り口が一緒でも出口が異なるわけです。

この背景をベースに創業支援とベンチャー支援の違いの話に戻ると、


支援方法

 

創業は、

・創業者、納税者、雇用者になってもらうための必要最低限の知識とサポートを提供する

・創業がゴールなので、出来るだけ多くの創業者を輩出するために創業内容には必要最低限の介入を行う

・地域経済の分母となる創業者数を増やすため、リスクを侵す起業に対してはしっかりとアドバイスの段階から方向性への”否定”を取り入れる

→その地でうまくいく方法や経験やコネクションを伝授する

 

ベンチャーは、

・その事業の最大限の成長を達成するために、最大限の知識とサポートを提供する

・事業の最高成長がゴールなので、その達成のためにはありとあらゆる介入を行う(勿論、口出ししないベンチャーサポート側の方もいらっしゃいます。)

・そのベンチャーを志す方々の想いや野望が最大化されるように、一切の”否定”を行わず、成長の確度が上がる方向性に”誘導”する

 

という違いになります。

 

そうすると、創業支援とベンチャー支援では幾つかの結果の違いが発生します。
あくまで経験論です。

・創業は沢山の相談者数をこなせるが、ベンチャーは数がこなせない
・創業支援は国のガイドラインや資格などの、ある程度の創業に関する知識や理解を相談される事業への熱量関係なく行えるが、ベンチャー支援は特別な知識や理解と共に、その事業に対する熱意とその事業に対するコミットが無いと行えない

 

 

ここが義務教育と家庭の違いに大きくシンクロする部分です。


要するに、義務教育では沢山の社会適合者を創出することが目標であり、個人的に偏った支援を先生が生徒に行うことは許されないですが、親は子供の最大限の成長のためにはありとあらゆる策を講じてでも、子供を支援する。子供が可愛いは一緒ですが、子育てのスタンスが違う訳です。

ただ、このシンクロが昨今のベンチャー支援環境では変わりつつあり、そこが経洗塾としても違和感を感じる部分です。


・出来るだけ多くのベンチャーを創出するために、画一的なプログラムを数多くこなす

ベンチャービジネスに取り組むには特別な能力が必要で、それを持たない人間はベンチャーをやるべきではないとの世論が普及している

・どんな支援体制であってもベンチャー創出確率があがるように、プログラムの入り口でふるいにかける

 

これって、結局はベンチャー支援が義務教育化しているように感じます。

発展途上の国において、子供を労働者とみなし、出来るだけ多くの出産を社会が女性に求めるように、国や地方自治体の衰退を救うべく、ベンチャー創出数に重きを置き、ベンチャーを労働児童にしてはいけないんじゃないかと思うわけです。

 

だから、経洗塾は人や能力で差別しないようにしてます。その塾生の個性や強みが最大限伸びるように、塾生一人一人が独自のベンチャービジネスやその成長速度に辿りつくように。

岡山、広島が発表1週間で満席となりました。GW明けにはキックオフします。鳥取、長崎も順調に説明会が完了していってます。塾の運営側の人員採用も進め、サポート体制も拡充していきます。事業化に向けてのシステム構築も時間の許す限り最短で行う計画です。もう毎日がてんやわんやですが、自分の愛すべき子供のように、また新しい時代を築く同志として新たに時間を共にする塾生に関わっていこうと思います。

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